レクチャー

本務校の法政大学キャリアデザイン学部では主に,ゼミのなかでプログラム評価の学びを取り入れているが,他大学での学部・大学院の非常勤(2016年度秋学期)では下記の通りに授業を進める予定:


プログラム評価論 [心理学特殊講義Ⅳ]  上智大学総合人間科学部 2016年度

心理学諸領域には,対人援助やコミュニティ援助といった臨床心理地域援助をはじめ,企業組織での人材育成や地域活性化を目的とした多様なプログラムやサービス(実践・介入活動)が存在する。そして,ただ単にプログラムやサービスを提供するだけでなく,それが利用者にどのような効果や成果をもたらしたのかを客観的に捉え,科学的根拠(エビデンス)として提示することが求められている。

本授業では,主に心理学の専門性に基づいた実践・介入活動をプログラムの視点から構造化し,その効果や成果をデータに基づいて評価し,活動の質向上につなげるための方法論であるプログラム評価について学ぶ。心理学の専門家が携わるプログラムは,広くは社会問題(社会的な課題)の解決,なかでも利用者やクライエントの心理的ウェルビーイングの向上を目的とすることが多い。しかし,プログラムがもたらす個人への効果や組織的な価値は,経済的指標などで捉えることが困難である。そのため,心理学研究法などの方法論を援用し,プログラムの効果を測定・評価するアプローチをとることになる。この授業では,プログラムを客観化する手順をまず習得し,そのうえで,プログラムを実証的に評価するための方法論を学ぶ。

  1. イントロダクション
  2. プログラムとは何か,プログラム評価の定義(P&R Activity 1:「評価とは」)
  3. 問題・課題の分析,プログラムニーズの種類とアセスメント(P&R Activity 4:「チョコレートクッキーの評価」)
  4. ゴールの可視化・構造化(P&R Activity 11:「意思決定」)
  5. インパクト理論の検討
  6. ロジックモデルの開発①
  7. ロジックモデルの開発②
  8. グループ発表①(プログラムの可視化)
  9. 評価可能性アセスメントとロジックモデルに基づいた評価クエスチョンの検討(P&R Activity 8:「評価のポリティクス」)
  10. アウトカム評価とは何か,アウトカム評価指標の作成
  11. 実験・準実験デザインによるアウトカム評価(P&R Activity 27:「評価デザイン」)
  12. プロセス評価とは何か,プロセス評価の指標と方法の検討(P&R Activity 28:「評価デザインの選択」)
  13. 評価の焦点化(P&R Activity 37:「妥当性の検討」)
  14. グループ発表②(評価計画の策定)
  15. 総括

* P&R: Preskill, H., & Russ-Eft, D. (2016). Building Evaluation Capacity: Activities for teaching and training. Sage publication.

 

プログラム評価論 [社会教育学特殊研究]  東京大学大学院教育学研究科 2016年度

教育機関や企業組織そして地域コミュニティには、対人援助・人材育成・組織開発・地域活性化などを目的とした多種多様な実践活動が存在する。これらの実践・介入活動に対して説明責任や科学的根拠(エビデンス)が求められる時代となっている。本授業では、様々な実践・介入活動をプログラムとして客観的に捉え、その結果や効果を評価し、活動の質向上につなげるための方法論を学ぶ。

プログラムの価値は、経済的指標などで捉えることが困難な個人や集団に対する教育的・心理的効果として現れることが多いため、社会調査・実験心理学・心理測定といった方法論との親和性が高い。この授業では、プログラムを客観化・可視化する手順をまず習得したうえで、具体例を通してプログラムを実証的に評価するための方法を学ぶ。

  1. イントロダクション
  2. プログラム評価の目的と評価者・ステークホルダー(P&R Activity 1:「評価とは」)
  3. プログラムニーズの種類とアセスメントの方法(P&R Activity 2:「評価の種類」)
  4. ゴールの明確化(P&R Activity 11:「意思決定」)
  5. インパクト理論
  6. ロジックモデル
  7. 評価可能性アセスメントと評価クエスチョン(P&R Activity 8:「評価のポリティクス」)
  8. アウトカム評価の概要と評価指標の作成
  9. 実験・準実験デザインによるアウトカム評価(P&R Activity 27:「評価デザイン」)
  10. プログラムの導入(インプリメンテーション)評価とプロセス評価(P&R Activity 28:「評価デザインの選択」)
  11. 評価アプローチ①(社会科学・理論主導,他)
  12. 評価アプローチ②(実用重視・エンパワメント,他)
  13. 評価報告書・技術報告書(テクニカルレポート)の内容と作成方法
  14. 総 括