消極的なコミュニティ感覚
コミュニティ心理学におけるコミュニティ感覚は基本的にポジティブ・積極的な側面に焦点を当てているが,特に日本の組織においては,消極的なコミュニティ感覚が存在している。
簡潔に,積極的なコミュニティ感覚とは,ずっとそこに属していたいコミュニティに対して個人がいだく感情である。それに対して,消極的なコミュニティ感覚とは,やむなくそこにいるというコミュニティに対して個人がいだく感情である(例:太田,2016)。
またもし本当に消極的なコミュニティ感覚が実証的に明らかにされたとすると,諸外国(例:アメリカ)で議論されているコミュニティ感覚は日本のものとは異なるとも言える。コミュニティの質がそもそも異なるので,ある意味当然ではあるが,ポジティブなコミュニティ感覚とネガティブなコミュニティ感覚について検討することは,研究の切り口としては興味深いと考える。またエンパワメントとコミュニティ感覚のパラドックスを説明する鍵となるかもしれない。
参考: 太田肇(2016) 個人を幸福にしない日本の組織 新潮社