地域でのプロジェクトの評価研究

昨日のゼミにて3年生(苫米地さん)がボランティアそしてゼミ論・卒論の研究の一環として参加している「渋谷ズンチャカ!」から細田幸子様(ヤマハミュージックジャパン)においで頂いて,音楽を通したまちづくりに関するお話を伺った。

細田さんのキャリアについての話も含め,どれも興味深いものばかりであった。なかでも,地域でのプロジェクトの効果に関してデータをとる必要があるのか,それをどう活用すべきなのかについての疑問に対する細田さんの答えから,特に多くのことを学んだ。いつもそのような素朴な疑問をもちつつデータを収集・分析している。

地域に対して貢献をしているのであれば,それだけで十分である,つまりしっかりと活動をしていればそれだけでOKであると言えなくもない。しかしプロジェクトを持続可能・自立発展的なものにしていくためには,その活動がいかに優れているのかを「誰かに伝える」ことが重要となる。プロジェクトに関わっている人が直接的にその魅力や効果を「誰か」に伝える際には,話をする際の”熱量”も含め,比較的しっかりと伝わることが多い。

しかし,それを聞いた人が「別の誰か(あるいは組織)」に伝える場合,その熱量が必ずしも存在する訳ではなく,プロジェクトのすばらしさがうまく伝わらない可能性が出てくる。もし何らかの意思決定にかかわることであれば,なおさらしっかりと伝えなければならないのであるが,それがうまくいかないことも十分考えられる(実際にあった)。そこで「データ(エビデンス)」が有用になるとのことである。

様々な「誰か(=ステークホルダー)」がいる場合,熱量も重要であるがデータも重要となる。そこにデータを活用する意義があるとのことである。データがひとり歩きしてしまうことに気をつけながらも,しっかりとそれを活用することが地域のプロジェクトの発展にもつながる。とても良い学びであった。

※評価研究では,M. パットンの評価結果の利用・活用(Utilization)に軸足を置いた実用重視型評価(Utilzation-Focused Evaluation:UFE)があるが,その枠組みで説明できると考えられる。