「インパクト理論」⇒「効果モデル」
プログラム評価領域では「インパクト」という用語が2通りに用いられている。ロジックモデルの要因において,およびインパクト理論(impact theory)においてである。
前者のロジックモデルの要因としてのインパクトであるが,プログラムの構造を検討する際には,インプット→アクティビティ→アウトプット→アウトカム→インパクトの順で考える。したがって,ここで言うインパクトとは,アウトプット(結果)およびアウトカム(成果)の次の段階において現れてくるもの,つまり波及効果のことを指す。
一方,後者のインパクト理論において明らかにされるインパクトとは,プログラムの参加者やサービスの利用者におこる「変化」のことを指す。つまり,実質効果(net effect)のことを指す(Rossi, Freeman, & Lipsey,1999, p. 4)。また参加者・利用者の変化の道筋についての理論という意味で「変化の理論(theory of change)」と呼ばれることも多い。
同じインパクトという用語を用いていても,両者は明らかに異なっている。また両者の違いは授業や研修等での説明において必ず議論になる。後者のインパクト理論では実質効果を扱っているため,インパクト理論(impact theory)ではなく効果モデル(effect model)とするのが良いのではと考えている。