Respect Data, Trust Judgement — J. Morell

このラボのミッションは「活動をカタチに,効果をデータに」である。これは「プログラム」を可視化し,その効果をデータに基づいて「評価」する,というプログラム評価の基本姿勢と連動させたものである。

これまで多種多様なプログラムに関しての相談を受けてきたが,主にそれらはミッションの前半部分にあたる「活動をカタチに」するための方法に関するものであった。プログラムのゴールを明確化したり,ロジックモデルを作成したりと,一定の手続きのもと,各プログラムや活動を可視化していく作業である。

しかし「効果をデータに」という点に関しては,いくつかの例外を除いて,あまり相談を受けなかったり,受けても実際に具体的な作業に結びつかなかったりというケースが多かった。プログラムという「活動をカタチに」することそれ自体が重要であることは言うまでもないが,それは「効果をデータに」する前の準備段階,いわば手段として捉えられるべきものと言えなくもない。活動および効果が可視化・データ化されてはじめて,本来のプログラム評価につなげられることになる。

一方で,データはそれ自体では何も語らない(“the data don’t speak for themselves”)ということを認識することも重要である。語るのはデータを解釈した人である。その解釈が意思決定や判断に直結することが多いのがプログラム評価研究の特徴でもある。

“Respect Data, Trust Judgement”は評価研究者Jonathan A. Morellの言葉であるが,これはデータ(エビデンス)に基づいて判断するという行為の本質を実にうまく表現している。この言葉通り,データを尊重し(respect),(データに基づく判断を)信頼する(trust)という基本姿勢が重要であると考える。

 

ディスカッション:「データに基づく判断を信じる」という基本姿勢から生じる可能性がある問題(例:副次的な問題)は何か。