事例検討

「グループ・プログラム」に焦点を当てた事例検討を横山先生の発表をもとに行った。2時間では足りないくらいのディスカッションであった。参加者は様々なプログラムに携わっているが,評価について共通の課題(問題意識)をもっていることが確認できたことはとても有意義であった。なかでも研究サイドの話としては,心理学をベースとした評価研究の結果をどのように投稿・出版していくのか,つまりプログラムの開発研究・評価研究は従来の心理学研究の土台には乗りにくいため(例:問題と目的・方法・結果・考察という枠組みの論文),どのように研究結果を発信していくのか,についての議論が興味深かった(もちろん,その他も深い議論があった)。

もし可能であれば,ジャーナルにプログラムの開発・評価研究といった枠を設けて,そこにプログラムに特化した研究論文を受けつけるのが個人的には良いかと考える。プログラムの開発・評価研究は,一般に,実践研究の論文として扱われることが多いが,例えば,プログラムの開発研究の場合,開発途上であるがゆえに,発表できるデータなどが存在しないことも多い。あるいは,プログラムを運営していくためのシステムや組織の特性(キャパシティ)に関する研究であれば,単なる活動の紹介,あるいは活動を良くしていくためのシステムの紹介と認識されることになる。

もしこれらを査読論文として投稿する場合,従来の枠組みの論文(問題と目的・方法・結果・考察)としてアクセプトされる可能性は限りなく低いと言える。米国にEvaluation and Program Planningというまさにプログラムの開発と評価研究に特化したジャーナルがある。従来のものに比べて自由な論文枠組みの設定となっているが,ことプログラム研究に関しては専門性に秀でていて,個人的にはとても好きなジャーナルである。心理学領域の既存のジャーナルに開発・評価研究のカテゴリができるとプログラム評価研究関連の結果が発信しやすくなると考える。

次回(第3回)の事例検討会は来年の3月(といいながら5月くらいになる)を予定している。年2回の検討会の実施が,持続可能な会としていくうえでちょうど良い。