尺度の構成(心理的エンパワメント)

心理的エンパワメント尺度の開発に関する予備調査を行ったところ(LINK),この尺度は3因子(顕在化・活用・社会化)から構成されることが明らかになった。しかし,継続研究で改めて収集したデータでは(WAVE1, N=124),3因子ではなく,1因子から構成されることが明らかになった。

ここでは,自らの在り方や強みに気づく,それを活用する,そして社会化するに至るプロセスは,少なくとも大学生にとっては,別のもの(概念)としてではなく,同じものとして捉えられていた可能性が高い。また本データでは,10項目からなる原版から1項目(i.e., 自分が中心となって組織やグループを立ち上げたことがある)を除いた9項目が“心理的エンパワメント因子”として妥当であることも明らかになった。

尺度作成の際には,質問項目の意味やニュアンスを回答者にしっかりと伝えるために,特に「動詞(ここでは,気づく・活かす・役立てる)」の運用の仕方に着目する必要があることも分かった。今後の展開として,まずは1因子からなる心理的エンパワメント尺度を研究に活用しつつ,追加の先行研究レビューなどを通して内容のさらなる検討を行い,最終的には定義に沿った形の3因子からなる尺度の開発を行っていく。