メモ:ベンチマーキング
1980年代に米・ゼロックス社が当時の日本のキャノンやリコーの効率化・低コスト化された製品開発に対抗するために行ったのがベンチマーキング(BM)の始まりとされている。なかでも異業種であるL.L.ビーンの在庫管理システムをベンチマークし自社の生産プロセスに取り込んだことは当時としては画期的だったと言われている。また,さらにさかのぼると1950年代にトヨタが米・フォード社の生産方式をベンチマークしたところにその始まりがあるとも言える。
同義的に用いられるベストプラクティス(BP)とBMであるが,厳密には,ベンチマーキングによる生産物・成果物がベストプラクティスであると言われている(参考:”Best practices are the products of benchmarking” p. 3)。BMはビジネス(business)にのみ適用可能とされがちであるが,実はBMの対象はビジネスではなく組織(organization)である。よって,BMは営利・非営利を問わない。
営利組織の場合,BMのゴールはプロフィット(profit)であるし,非営利組織の場合のBMのゴールはパフォーマンス(performance)である。後者のパフォーマンスは「インパクト」や「どれだけ違い・変化をもたらしたか(make a difference)」に置き換えられる。
よって,ビジネス領域におけるBMそしてBPはどれだけ利益をもたらしたかがその度量衡となるが,対人・コミュニティ援助,ヒューマンサービス領域を含め非営利の領域におけるBMやBPは,どれだけ肯定的な変化やインパクトをもたらしたかが度量衡となる(参考:”While business make a profit, nonprofits make a difference” p 2.)
Saul, J. (2004). Benchmarking for nonprofits: How to measure, manage, and improve performance. Fieldstone Alliance Publishing.