ステークホルダー分析

プログラム評価を行う際には,評価結果のユーザーを明らかにすることが有用である。特に,評価者が組織等から評価を依頼された場合には,ステークホルダーが誰なのかについて,あらかじめ分析をすることが鍵となる。ステークホルダー分析がその方法の1つである。

そもそもステークホルダーとは,下記のような人々のことである(Greene, 2005, as cited in Bryson et al., 2011, p. 2):

  • プログラムの運営全般に関する決定権を持つ人々のことで,例えば,制度設計に携わる人,資金提供者,諮問機関・委員など。
  • プログラム実施の直接的な関係者のことで,例えば,プログラム開発に携わる人,プログラムのマネジャーやサービスを提供するスタッフなど。
  • プログラム(に参加すること)によって,意図する利益(効果)を得られる人々,あるいはその家族やコミュニティ。
  • プログラムが実施されることによって不利益をこうむってしまう人々。たとえば,資金提供の機会が失われてしまう人々など。

これらの多様なステークホルダーの関心や意見に対して適切な説明責任を果たすための第一歩として,ステークホルダー分析を行うのである。ここでは,座標軸にパワー(権限,Power)と興味関心(Interests)の2軸が設定され,複数のステークホルダーがマッピングされる(※ワークシート)。「誰に対して」「何を」報告すべきかを事前に分析する際に活用するためである。もともとプロジェクトマネジメントの領域で発展した方法で,そこでは「プログラムの実施」がどのステークホルダーのパワーおよび興味関心に沿ったものなのか,が可視化される。一方,プログラム評価では,「評価の実施」がどのステークホルダーのパワー×興味関心に沿ったものなのか,が可視化されることになる。

下記のM. パットンの論文が参考になる:
Bryson, J., Patton, M., & Bowman, R. (2011). Working with evaluation stakeholders: A rationale, step-wise approach and toolkit. Evaluation and Program Planning, 34, 1-12.