BPAとEBP

メモ:

エビデンスに基づく実践(EBP)では,おおまかには,介入と効果の間に因果関係を仮定し(i.e,. 仮説をたて),それをデータによって実証したものをエビデンスとする。そのうえで,エビデンスを参考にした実践を行うものである。ここでは,因果関係の背後に仮定される「論理性(logic)」がいわゆる「必要条件」となり,その仮定が本当に成立するかどうかをデータによって実証するという「科学性」が「十分条件」となる。その意味でEBPは”必要・十分”なアプローチと言える。

ベストプラクティス・アプローチ(BPA)に基づく実践は,倫理面・運用面への配慮等で科学的な実証(e.g,. RCTなど)が叶わない,あるいは困難なケースにおいて,少なくとも,「論理性」という「必要条件」だけは担保するアプローチと捉えることが可能である。つまりBPAは,「科学性」という「十分条件」は確保できないがしかし,現場の状況やプログラムの性質など,様々な社会的文脈,フィールドへの配慮のもとに,最良・最善の実践とされるベストプラクティスについて,必要条件にあたるプログラムの実施過程や援助サービスの提供過程の論理(性)の明確化を目的とするアプローチとも言える。この論理性を明らかにするために用いられる手法がベンチマーキングである。

参考:安田節之(印刷中)『ベストプラクティス・アプローチに基づくプログラム評価研究(1):エビデンスに基づく実践との比較から考える』生涯学習とキャリアデザイン