人と環境の適合（Person-Environment Fit）は，コミュニティ心理学の価値基盤・中核概念と関連が深いが，いざ「個人」と「環境」の適合性を検討しようとすると，使用概念やリサーチクエスチョンの設定が難しい。

一方で，「人と環境の適合」を客観的な判断ではなく，主観的な判断に基づいて‟心理学的”に言い換えると（※）「個人がその人がおかれた環境（コミュニティ）をどのように認識しているか，そしてその環境がその人にとって良くフィットしているか（fit well）」となり，少し分かりやすくなる。つまりこの課題は，「コミュニティ感覚」と「適応（例：心理的適応）」という2つの概念によって検討が可能となる。

※個人が置かれた環境をすべて心理学的に捉えることは，時にミスリーディングとなる（例：犠牲者非難¹ ²)。