フルカバリッジ・プログラムとしてのコミュニティ介入の評価

アウトカム評価を行う際,通常,比較・統制群などを設置し当該プログラムが他のプログラムに比してどの位,成果・効果(アウトカム)をあげたかを測定・評価するアプローチをとるのが一般的である。

しかし,そもそもプログラムに統制群や比較群(※)が存在しない場合もある。たとえば,介護保険制度といった国レベルで実施される社会政策などがそれにあたり,プログラム評価の観点からは,それらのプログラムは「フルカバリッジ・プログラム」と呼ばれている(Rossi, Freeman, & Lipsey, 1999)。 (※ 介護保険制度以外の他の制度を受ける群という意味での比較群)

フルカバリッジ・プログラムの評価では,比較・統制群が存在しないため,“事前・事後”にどの程度の変化があったのかに測定の的が絞られる。その代表的なものが“○☓○”で表される「1群事前事後テストデザイン(one-group pretest-posttest design)」である(参考:安田,2011, p. 220)。

アメリカのシカゴでの「飼い犬の糞」を減らすためのコミュニティ介入プログラムの評価にこのフルカバリッジ・プログラムの評価デザインが用いられ,その効果が確かめられた(Jason et al., 1980; 1979)。

 

Jason, L., McCoy, K., Blanco, D., & Zolik, E. (1980). Decreasing dog litter: Behavioral consultation to help a community group. Evaluation Review, 4, 355-359.

Jason, L., Zolik, E., & Matese, F. (1979). Promoting dog owners to pick up dog dropping. American Journal of Community Psychology, 7,  339-351.