「心理的エンパワメント尺度」の初期項目

尺度の開発を通して,心理的エンパワメント概念の研究を行っている。開発にあたっては,①どのような場面・社会的文脈で大学生が心理的にエンパワーされるかを,定義に沿う形で,自由記述で回答で求め,②回答を基に尺度(質問)項目を作成し,予備的なデータ収集を行った(N=79)。因子分析の結果,下記の3因子が抽出された。これらを初期項目とし,今後,追加・修正を行うなかで当該概念をより深く考察していく予定:

因子1:「顕在化」
① 人から指摘されて,自分の良さに気づくことがある。
② 何かを達成した時,自分にもそんなことが出来るのだと実感したことがある。
③ これまでの人生や生活をふりかえるなかで,ふと自分の持っている力を再確認することがある。

因子2:「活用」
① 物事に取り組むとき,どうすれば自分の適性を活かせるかをまず考える。
② 仲間から自分の長所が認められている。
③ たとえ苦手なことであっても,自分の強みを活かして乗り越えようとする。
④ 何かの活動をする際,自分の適性を活かした役割を頼まれる。

因子3:「社会化」
① 自分が中心となって組織やグループを立ち上げたことがある。
② 組織やグループをより良くするために,決定権を持つ人に自らの意見や考えを伝えたことがある。
③ 自分の考えに賛同してくれる仲間と一緒に,何かを成し遂げた経験がある。

 

安田節之(2016,印刷中) 心理的エンパワメント尺度の開発:大学生のライフキャリア課題の理解に向けて 生涯学習とキャリアデザイン