コミュニティ心理学研究の学び(ステップ5:プログラム評価の学び)

コミュニティ心理学(CP)研究における教育開発を検討するうえで最後となるステップ5では,実際のコミュニティ介入プログラムに関する研究が行われる。先にみたように,独立型のCP研究科では,心理学の研究法はもとより,より実践的な社会・コミュニティ介入の開発と評価に関する学びを行うことが重要とされていた。そのような学びは,量的研究あるいは質的研究を方法論的なプラットフォームとして様々な形式をとることが可能である。ここでは,コミュニティ介入の開発と評価の学びを,プログラム評価研究(例:安田,2011;安田・渡辺,2008)の一環として行うことを想定して考察していく。主に視点④で捉えた援助や支援をプログラムとして捉えられるようになることが学びのゴールである。即ち,学習者は「コミュニティ介入として支援や援助をどのようにプログラムとして可視化し,そのプロセスやアウトカムをどのように評価するか」(視点⑤)について学ぶことになる。

一般に,プログラム評価教育は,プログラムの必要性を社会的背景と照らし合わせて考えるところから始まる(ニーズとリソースのアセスメント)。そして,プログラムが達成しようとする成果(アウトカム)をプログラムゴールとして可視化・構造化する。そのうえで,プログラムの参加者,サービスの利用者に起こる変化を理論的に説明し(インパクト理論),そのような変化を生み出すためのプログラムの運営法について,ロジックモデルなどを作成し包括的に捉える。

以上の情報をもとに実際の評価デザインを検討すると共に,データ収集・分析の在り方や方法についても併せて検討する。プログラム評価と一口に言っても様々なアプローチや評価モデルが存在する。学習者はそれらを総合的に学び,実際のコミュニティ介入に即したモデルやアプローチを検討する。これがプログラム評価をCP研究の学びに活用する1つの方法と言える。

 

安田節之(2017,p.181)コミュニティ心理学研究の質を高めるための教育開発:何をどう伝えるか コミュニティ心理学研究   20(2) 174-183.