コミュニティ心理学研究の学び(ステップ1:社会・コミュニティ課題の検討)

ステップ1はコミュニティ心理学(CP)研究の学びにおける導入の役割を果たしている。ここでは,地域コミュニティはもとより,教育機関や企業組織といった様々なコミュニティのなかに存在する公式(フォーマル)・非公式(インフォーマル)な社会的文脈から物事をとらえる視点を養うことを学びのゴールとしている。そこでまず,社会やコミュニティの課題を自らの視点から捉えるところからスタートする。講義と演習を織り交ぜた授業形式が想定され,学習者は関連する新聞記事や映像資料といった事例をベースに学んでいく。

CPで取りあげられる研究テーマは,例えば,ポジティブ心理学のように個人や組織の肯定的な側面に焦点を当てたものも一部ある,しかし,多くは現代社会が抱える社会課題や地域課題に関するものである。したがって,事例などを検討する際には,研究関心により近づけるために「当事者である個人がどのような(主に否定的な)経験をしているのか」(視点①),「その経験を生じさせている社会的な文脈(コンテクスト)やコミュニティは何か」(視点②)という点についての考察を促すような問いを投げかける。

 

安田節之(2017,p.176)コミュニティ心理学研究の質を高めるための教育開発:何をどう伝えるか コミュニティ心理学研究   20(2) 174-183.