秋学期の学部ゼミ

昨年度から秋学期の学部ゼミは2年生・3年生合同で試行錯誤しながら行っている(4年生は個別の卒論指導)。今学期はプログラム評価の学びを積極的に取り入れられればと考えている。

プログラム評価は実際に行われているプログラム(社会・教育・ビジネス・心理・地域など)に実施側・運営側として携わっていると学びが深まるのであるが,そうでない場合には,消化不良で終わってしまうことが多い。プログラムと言っても,いわゆる手作りのプログラムからしっかりと制度化され運営されているプログラムまで多種多様なものがある。特に学部生の場合,教育機関・企業組織・地域コミュニティなどにおいて実施されるしっかりとしたプログラム(評価研究で言うところのevaluabilityが高いプログラム)に携わっている機会は少なく,またそれを期待すること自体にも無理がある。その一方で,自発的にそのようなプログラムに携わっている学生もいることも事実である。いずれにせよ今学期は,プログラムを評価する際に活用される問題分析,ゴール設定,ステークホルダー分析,ロジックモデル策定,評価理論・アプローチや評価デザインの検討を,出来るところまでチャレンジしてみたい。

昨年度の秋学期は,3グループに分かれて質問紙作成・データ収集・簡単なデータ分析を中心にゼミを行った。各グループのテーマは,地域への愛着,サイレントマジョリティ,インスタグラムを利用する心理であったが,これらは主に,探究ベースのテーマ設定つまり「なぜ(why)」に焦点をあてた研究である。なぜ人は地域に対して愛着をもつのか,なぜサイレントマジョリティとなるのか,なぜインスタグラムを使うのか,といったことを探求するための研究である。

プログラム評価の学びでは,「なぜ」という視点も重要であるが,「どうやって(how)」という視点がより重視される。例えば,どうやって地域への愛着をもってもらうのか,どうやって(もしそれが必要であれば)サイレントマジョリティとならず自分の意見を言えるようになるのか,といった具合である。そこに仕掛けとしてのプログラムの存在意義が出てくる。プログラムは基本的には,悪い状態・状況を「どうやって」良い状態・状況にするかを考えていくので,まずは悪い状態・状況,つまり「問題」(例:社会的な問題)を定義することから始めることになる。そしてその「問題」を「プログラム」という“意図的・人為的な仕掛け”を用いてどう解決・改善するかを考えていく。その一連のプロセスをプログラム評価の枠組みから考えていきたい。